「お兄さんについてからですかね。癖がついてしまったようです。」
昔は名前を呼べば隣から声がしてた。
でも今は、後ろから声がする。
相手の目、表情を見ながら話せと騎馬に教わった。だから声色だけではどんな表情かは分からない。けど、今の騎馬は明らかに暗かった。
『…今日だけ騎馬に合わせてやるよ』
ニコッと笑い騎馬の元まで下がると、並んで歩いた。
「見ない間に背が伸びましたね。」
『そうか?』
「それに、話し方も…」
『成長したって事だな!!』
「やはり、さっきの言葉は撤回いたします。」
『なんだよそれ』
話をしてると、あっという間に部屋に着いた。
騎馬は自室の前で立ち止まり、悲しい笑みじゃなく、いつかと同じ優しい笑みを俺に向けた。
「では、この辺で。」
『…部屋くるか?』
俺の申し出にも、首を振った。
「今は、陸の執事ではないので、遠慮しておきます。」
『そうか、おやすみ。』
「おやすみなさいませ。」
俺が部屋に入った後、隣からドアが閉まる音がした。
電気も点けず、コートをソファーに投げるとそのままベッドに向かった。
雪がチラつく窓にカーテンを閉めると、そのまま眠りについた。


