取り返しがつかないというのは、こういうことなんだろうか? 僕は、見てしまっていた。 楓と心が抱き合っている姿を。 「…郁」 背中越しから早紀の声が聞こえた。 今夜は早紀に学校での用事を手伝ってもらい、帰る途中だった。 僕は止めていた足を再び動かし、歩き出した。