やがて周囲に音が戻ってきて、俺は自分の身に起こったことを理解した。 「い…っっ!!」 右手首の激しい痛みに、思わず悲鳴を上げた。 いつのまにか、クラスメートたちに囲まれていた。 何集まってんだよ、大げさだなぁ… 困惑を隠そうと、そう、笑って言おうとして、 「な…」 と口を開いた瞬間、誰かの声がして俺の言葉は途中で止まった。 「…平井って、来週、テニスの大会じゃ…なかったか?」 空気が凍りついた…気がした。