「勝つと思う?」


なぜか修斗は、疑問形で返してくる。


「うっうん」


「里穂がそう思うなら、勝つんじゃない?」


「じゃあ、修斗は?」


「勝つのが当たり前。そのために、練習して来たんだぞ」


「そうだよね」


「ちゃんと応援してろよ」


「うん!」


「勝ったら、なんかおごれ」


「えーじゃあ、点取ったらね」


「忘れんなよ」


修斗は私の髪をくしゃっとなでた。


「絶対勝つから」


私にしか聞こえない声で呟いて、修斗はグランドに足を踏み入れた。