君の隣~サッカーボールを追いかけて~

けどそうじゃなくて、雨が降りそうだったからなんだ。


修斗が一人で練習を始めて40分くらいたったころ、田中先生が言ったみたいに雨が降ってきた。


それでも修斗は、ボールを蹴ることをやめない。


そんな修斗に、私の視線は釘付けだった。


ザーザーと雨が降る。


「寒ッ」


制服が濡れる。


ブルっと震える身体を、ギュッと抱きしめた。


「バカ里穂。なにやってんだ!」


いつの間にか私の傍に来ていた修斗がそう叫んで、私の腕を引いた。


ぐいぐい引っ張られて、部室に連れて行かれた。


「雨ん中、突っ立ってんじゃねぇよ」


エナメルバックをあさり、何かを取り出した。


「わっ!」


修斗が取り出したのはタオルで、そのタオルで私の髪をごしごし拭く。