君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「里穂に蹴られたら、ボールがかわいそうだ」


「なっ!ムカつく~」


「ボールにだって、人を選ぶ権利がある」


にやって笑って、修斗はまたアップを始めた。


あーもう、頭くる!


修斗なんか、大っ嫌い。


でもでも。


好きなんだもん。


あんな奴でも、大好きなんだもん。


それから数10分して、試合が開始された。


グランドの隅には、この試合を見にきたお客さんがいっぱい。


うちの学校の生徒も、たくさんグランドに姿を現した。


「体育館と、いい勝負ね」


沙穂先輩が、時計を見ながらそう言った。


微かに聞こえる、吹奏楽の演奏。