修斗のやりたいサッカースタイルが、この高校のスタイルだったから。


早いパス回し。


人もボールも動くサッカー


これが、この県立南高校の伝統スタイル。


それに惚れたらしい。


試合が終わったあとの帰り道。


修斗が興奮して、試合について話してたのは今でも覚えてる。


それからすぐに、私も南高校を受けることに決めた。


別に修斗がここを選んだからってわけじゃないよ。


そりゃ、少しはあるけど。


私がここを選んだのは、家から近くて、大学進学率もよかったから。


その当時は食関係の仕事に就きたいっていう大雑把な夢しかなかったけど、そのためには大学に行ったほうがいいって思ったから。


「里穂ちゃん、手伝って」


「はーい」


沙穂先輩に、声をかけられた。