「修斗、雨だよ」


「ああ」


修斗はそう短く答えただけだった。


雨が降って、少し肌寒く感じた。


たぶん雨が降って5分くらいで、試合が終わったと思う。


その間ずっと、修斗は傘もささずに試合を見つめてた。


雨に濡れて、全身ビチョビチョ。


それでも修斗は試合が終わったあと、笑顔で私にこう言った。


「里穂、俺決めた。ここでサッカーやる」


「あっうん」


いきなりの修斗の決断に、私はものすごくびっくりした。


当時中3で、進路をそろそろ決めないといけない時期だった。


このとき修斗には、私立の学校から特待生で取るから来てくれないかって言う話もあった。


でも修斗は、この県立南高校を選んだ。


なんでって?