君の隣~サッカーボールを追いかけて~

なるべく足音を立てないで里穂に近づく。


「里穂」


真後ろに立って、そっと声を掛ける。


ハッと振り向いた里穂は最初驚いた顔をしながらも、すぐにパッと笑顔になって俺に抱きついてきた。


その細い身体を受け止める。


「修斗~会いたかったよ」


「ん」


里穂の頭をなでつつ、今まで一緒に居た男をちらっと見ると、口をあんぐり開けたまま固まっていた。


「里穂、いいのか?友達、だろ?」


「ん?」


俺に会えたことで男の存在を忘れていたのか、少し俺から身体を離しクラスメイトの中山君と紹介してくれた。


「これから買い物するんだって。たまたま会ったから、話してたの」


「そっか」


中山君が目をパチパチさせて、俺を見てる。


「伊藤さん。この人、FCウイングの高木修斗さんだよね?知り合い?」