君の隣~サッカーボールを追いかけて~

でも誰も近づけないって。


なんでだ?って聞くと、お前がいるからだろと言われた。


お前が姫を守るナイトみたいに、常に伊藤さんの隣にいるじゃん。


修斗って、伊藤さんもめっちゃかわいい笑顔みせてさ。


その頃の俺は、里穂を好きだってはっきり自覚したころ。


無意識にそういう行動に出ていたのかもしれない。


確かに、里穂は姫だと思う。


伊藤家と高木家の姫。


里穂の家族が一人娘を可愛がる気持ちはすごい伝わってくる。


でもうちの両親も、里穂のことを本当の娘のように可愛がってきた。


特に母さんは、娘が欲しかったらしく、里穂にべた惚れだ。


里穂の弟の廉もああ見えて姉思いの弟だし、俺の弟の隼人も里穂姉って慕ってる。


だから里穂はいろんな人に守られ、大切に育てられた姫同然の扱いを受けてると言ってもいいと思う。


で、その先頭に立ってきたのが俺。


しょうがない、早く姫を返してもらいに行くか。