試合前に選手紹介が行われる。


選手がオーロラビジョンに映って名前を呼ばれるたびに、「オ~オイ」という独特の歓声が上がった。


「あっ、修斗の番」


思わず声が出てしまう。


隣のおばさんもドキドキしてるみたいだった。


試合が始まる。


プロの試合は、今まで私が見てきた高校生の試合とは比べ物にならないスピードがあった。


1-0FCウイングリードで折り返した後半30分、フリーキックのチャンスを得た。


「修斗、蹴るの?」


ボールには修斗と、もう一人ベテラン選手。


右利きの修斗と、左利きのベテラン選手。


フリーキックの位置は、ゴール向かって左15メートル。


審判のホイッスルが鳴らされた。


修斗が助走を取る。


「あっ!」