「里穂ちゃん!」


「おばさん」


大きく私に向かって手を振ってる修斗のお母さんのところに、急いで向かう。


Jリーグが開幕して約一ヶ月。


私の大学生活も約一ヶ月たち、やっと一人の生活にも慣れてきた。


バイトも見つけ、やりたいことを学んでるせいか、勉強も楽しい。


そんな中、修斗から嬉しいメールをもらった。


「今度の試合先発で出るから、見に来ないか?」って。


いつも先発の選手が怪我をし、その控えの選手もあまり調子がよくない。


そんな理由で、修斗に先発のチャンスが巡って来た。


一ヶ月、お互い自分のことで忙しくて会えていない。


スタンドからでも、修斗に会えるのが嬉しかった。


FCウイングのホームスタジアムは、実家がある市にある。


というか、実家から歩いて10分の距離。


スタジアムに足を踏み入れると、大勢のお客さんでスタンドは埋まっていた。