君の隣~サッカーボールを追いかけて~

修斗の手を持って、ふわっと地面に足を落とす。


「なあ、里穂。やっぱりボール蹴ってから出掛けるってのは?」


修斗が靴箱の上に置かれてるサッカーボールに目を向けた。


「絶対ダメ。今日はサッカー忘れてよ。私だけ見て?」


「だからお前は、無意識やめろって言ってんだろ」


修斗が顔を赤く染める。


私、修斗が赤くなるようなこと言ったっけ?と考えたけど特に思いつかず、まあ気にしないことにした。


「行こう、修斗。デートしよ」


「そうだな」


玄関を開けると、春の温かい日差しがいっぱい差し込んできた。


この光はきっと、未来を照らす明るい光。


君の隣には、いつもサッカーボール。


「ねぇ、知ってた?修斗」


君の隣にあるサッカーボールにさえ、私が嫉妬してたってこと。


サッカーバカな君に、ずっと恋してたってこと。



・・・一ヶ月後