それでも、一人暮らしを選んだことに後悔はしてない。


「里穂、俺トイレ行きたいんだけど」


「やだ」


「洩らしちゃうし」


ちょっと笑いを含んだ修斗の言い方に、しぶしぶだけどくっつくのをやめた。


「すぐ戻ってくるから」


まるで子供をあやすみたいに私の頭をなで、修斗は部屋を出て行った。


寂しい・・・寂しい・・・


もう自分の進む道は、お互い決まってる。


でも寂しい気持ちは、どうしても拭いきれない。


「里穂。そろそろ出かけるか」


部屋に戻ってきた修斗は私の顔を見るなり、苦笑いを浮かべた。


「んな顔するなって。一生会えなくなるわけじゃないんだしさ」


「うん」


近づいてくる修斗に、子供が抱っこをねだるように手を差し出す。