「優勝おめでとうございます。今の気分は?」


テレビ局のアナウンサーが、修斗にマイクを向ける。


「最高に嬉しいです」


「大きな怪我もあったり、決して楽しいことばかりではなかったと思いますが、今までを振り返ってどうですか?」


「怪我をしたときは、もうサッカーが出来ないと思いました。それでもいろんな人が自分を支えてくれたことは、感謝しきれないくらい感謝してます。あのとき、サッカーを諦めなくてよかったと思ってます」


「そうですか。次の舞台はJリーグですね。目標を」


大学は行かない、プロの道に進みたい。


そう言った修斗に、選手権で優勝したらプロになることを許す。


修斗の両親が出した条件。


だから大学の入学金なんかも払ったし、負けたら潔く大学に行くと修斗は言ってた。


でもそれじゃあ優勝してプロの道に入ったとき、大学の入学金とかは戻ってこないしどうするの?って聞いたら、給料で払えって言われたって修斗が苦笑いしながら教えてくれた。


プロになったとたん、借金持ちだぞ俺はって。


「プロになっても、自分が出来ることを精一杯やるだけです。1日でも早く試合に出れるよう頑張ります」


「ありがとうございました。高木修斗選手でした」


ペコリと頭を下げ、修斗が仲間の輪に加わった。