修斗に頭なでられるの好きだな~なんて上機嫌になってると、意味分かってないのにうなずくなよ、と今度はでこピンされる。


「痛いよ、修斗」


「んな、ちょっと指当たったくらいで痛がるなよ」


そんなこと言いながらも、さっき弾いたところをなでてる。


「帰るか、そろそろ」


「うん」


身体を離して手をつないだところで、後ろからパシャっと普段聞きなれない音がして、驚いて二人で振り返った。


「あら~気付かれちゃった?」


「安藤さん・・・」


修斗がはぁと短く息を吐く。


私たちの後ろに立っていたのは、地元新聞記者の安藤さん。


スラッと背が高くて、ヒールを履いて颯爽と歩く姿がカッコいい女性。


スポーツ欄を書いてて、3日後に迫った決勝の取材を今日はしに来ていた。


さっき部活が終わった後に、修斗にいろいろ聞いてたっけ。


明日は、テレビの取材が来ることになってる。