君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「手、出して」


差し出された手に、小さなミルクのあめ玉を乗せる。


「お前、こんなん持ち歩いてるのか?」


「ダメ?」


少しだけ修斗を見上げるような形になれば、プイっと視線を外されてダメじゃないけどって言われた。


私も同じのを取り出し、袋を破って口に入れる。


ほんのり甘いミルクの味が口に広がって、それだけで幸せな気分になる。


「里穂、今日の試合どうだった?」


家に帰る途中、急に修斗がそう聞いてきた。


「今日の試合?んー点入らない、点入らない、点入らない!」


思わず連呼してしまう。


「言ってくれんじゃん」


「だってさ、細かいことは修斗たちが一番分かってるでしょ?だから、見た感想そのものを言ってみた」


「まあ、今日は勝てたことでよしとするか」


そう呟いた修斗だけど、その顔には満足のまの字も浮かんでいなかった。