今日の対戦相手は、実力的にいえば中の下くらい。


決して勝てない相手ではないけど、一ヶ月ぶりの実戦だからどうなるか分からない。


「修斗」


修斗のジャージの袖をクイクイ引っ張る。


「ん?」


「大丈夫?」


「当たり前だろ?」


ピンとおでこを弾かれる。


「ちゃんと応援してろ」


「うん」


修斗は自信ありげに笑うと、シューズケースからスパイクを取り出した。


「なぁ里穂」


「なに?」


「全勝優勝するから」


スパイクを履き終え、ジャージを脱ぎながら修斗がボソッと言った。