君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「日に日にやせ細っていくんです。そんな母さん見てると、レギュラー落ちしたことなんて言えなくて、母さんの前では笑顔を保つのに必死で」


桜井君が泣きそうな顔をするから、こっちまで泣きそうになる。


「総体が終わってしばらくたって、母さんは死にました」


桜井君の肩が震える。


「俺、認めたくなかった。てか、認められなかった。母さん、よく言ってくれてたんです。サッカーやってる俺が好きだって。だから、ボール触るたびに母さんのこと思い出して、それが嫌で逃げるように部活行かなくなって・・・」


言葉が出ない。


なんて声をかけたらいいのか、分からなかった。


「タバコは、たまたまクラスの奴が吸ってるのを見て、もしかしたらこれで母さんのこと忘れられるかもなんて思って、自分から手を出したんです」


認めたくない、お母さんの死。


それでも認めなくちゃいけないくて、どうしようもない気持ちをタバコに当てた。


方法は間違ってる。


でも、たまたま辿りついた場所がタバコだっただけ。


「すみません。俺弱いんです」


一粒の涙が、桜井君のズボンの色を変える。


「桜井」