「今日も桜井君来なかったね」


「ああ」


全国高等学校サッカー選手権大会の県予選、2次リーグが始まる約1か月前。


部活に桜井君が来る回数が減った。


「修斗、なにか聞いてる?」


「いや」


「そう」


部活が終わり二人で家に帰る間も、話題に上がるのは桜井君のこと。


「なんか急に態度が変わったって、優実ちゃんが言ってた」


桜井君と優実ちゃんは同じクラス。


「どうしたんだろうな、あいつ」


修斗が地面に転がっていた石を蹴飛ばした。


桜井君は今まで真面目に練習をしてきて、部活を無断でサボるようなことは一回もなかった。


それだから余計に気になるし、どうしたんだろうと心配する。


そんな桜井君の驚くべき情報が飛び込んで来たのは、次の日のことだった。