「悪い。こっち」


目をつぶってるから声しか聞こえないけど、試合に出てる人が、ボールを欲しがってる声がする。


「おう」


ゆっくり目を開けると、誰かの手によってボールが試合に出てる人に返されるところを見た。


「まったく」


頭の上から、大きなため息が聞こえる。


「修、斗?」


私の目の前には、修斗の姿。


「お前ほんとに、期待を裏切らないよな」


私から身体を離しながら、またため息をつく修斗。


ボールが当たらなかったのは、修斗が私を抱きしめるようにして守ってくれたからだった。


「怪我してないか?」


「うっうん」


「てか、ボール迫ってんのに目をつぶるやつがどこに居るんだよ」


「だって、怖いんだもん」