「里穂」


後ろから私を呼ぶ声がする。


「なに?修斗」


後ろの方を振り向く。


そこには真剣な顔をして何かを覗き込む、修斗と吉井君の姿があった。


私の後ろの席は修斗で、そこに吉井君が遊びに来たみたい。


「この問題分かるか?」


「えっ?」


修斗が解いてるのは、去年の数学のセンター試験。


放課後は部活に追われる二人は、たまに昼休みなんかも勉強してる。


修斗も頭いい大学狙ってるし、吉井君も勉強出来るから有名大学を受けるみたい。


部長・副部長って立場だから部活に力は抜けないし、部活と受験の両立はマネージャーなんかをやってる私なんかよりはるかに大変。


「えっとね・・・」


私も一緒になって問題を覗き込む。


綾香もちょこまか歩いてきて、4人で問題を囲んだ。