綾香の言った言葉に、思わず笑ってしまう。


「チョコあげるから、元気出して」


「ありがと~」


鞄からミルクチョコを取り出し、ひとつ綾香の手に乗せた。


「疲れたときには、甘いものだよ」


「うん。てか、小論文ヤダ。面接ヤダ」


「ヤダって言われても・・・受験来週でしょ?」


「うーん」


「大丈夫だよ、綾香なら。推薦貰うために一生懸命頑張ったじゃない。あと少しだよ」


「そうだよね。もう少しの辛抱だよね」


「うん。何のために大学受験するのか忘れちゃダメだよ。夢をかなえるためでしょ?」


「そうだね。里穂、ありがと。なんか元気出た!」


綾香が笑ってくれて、こっちも笑顔になる。


目的を失った受験勉強は苦しいだけ。


大学行く理由はなに?って、苦しくなったらもう一度考えてみれば、きっと本来の目的を思い出して、勉強だって楽になるはず。