君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「11時」


ケータイとメモを見比べながら、どんどん番号を打っていく。


「修斗~」


「ん?」


私の頭の方に座っている修斗の服の袖を引っ張る。


「いーい」


電話しなくていいと否定の意味を込めて首を振る。


「でも苦しいだろ?」


舌ったらずな言葉と弱々しく振った首で、修斗は私が何を言いたいか理解してくれたらしい。


「いーい。お母さん、忙しいから。午後には帰ってくる」


「午後って、何時になるか分かんないだろ?帰って来れなくても、とりあえず連絡してみるから」


そう言って修斗は、ケータイの通話ボタンを押してしまった。


「あっおばさん。修斗だけど・・・」


しばらくするとお母さんに電話が変わったのか、真面目な声で話していた修斗が普段の修斗に戻った。