お母さんが私に必要な飲み物なんかを部屋に持ってきて、私に向かってベラベラとしゃべる。


「午前中は帰って来れないから、午後まで大人しく寝てなさい。どうしても具合が悪くなったら電話して」


整形外科のナースセンターに直接つながる電話番号って言って、お母さんは私の頭の方に一枚の紙を置いた。


「やばっ、もうこんな時間だ」


部屋の壁についてる時計を見ると、お母さんが慌てた声を出して部屋を出て行く。


そんなお母さんを見送りながら、私は大きなため息をついた。


「あっ、修斗に言わなきゃ」


熱で重い身体を何とか動かし、枕元に置いてあるケータイに手を伸ばす。


電話かメールか・・・


「メールにしよ」


しゃべるのも億劫で、メールのボタンに指を伸ばす。


ほんとはメールをするのもしんどいんだけど。


風邪引いてちょっと熱があるから行けなくなった、ってことにしておこう。


じゃないと修斗が、私の部屋を訪ねて来そうだから。


それだけは、何とか阻止しないと。