ため息をつきながらも、私の手を引いて修斗は歩きだした。


「修斗は、私に甘いね」


「甘いっつーか、目の離せない彼女を持つと、いろいろ大変だよ」


「いろいろって?」


「いろいろだよ」


「ふーん」


消灯時間が近いからか、廊下に出ている人は誰も居なかった。


「おやすみ、修斗」


「ああ。おやすみ」


私の部屋の前まで修斗が送ってくれた。


部屋のドアから上半身を覗かして、修斗の後姿を見送る。


その視線に気づいたのか、修斗の足が止まってこちらを振り返った。


それが嬉しくて、思いっきり手を振る。


困った顔をしながらも、修斗も手を振り返してくれた。


明日は準決勝。