君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「キャプテンやっててさ、負けた選手からよく、俺たちの分までって言われるんだ」


「うん」


「相手だってちゃんと練習して、プライド持って戦ってる」


「うん」


「だから勝った俺は、負けた奴らの分まで頑張らないといけないと思う。自分たちのためだけじゃない、負けた奴らの分まで勝つんだって思って、毎回試合に臨んでる」


「そっか。修斗はすごいね」


「そんなことねえよ」


恥ずかしそうに、私から顔を外す修斗。


「ねえ、修斗」


そんな修斗の手を、私は取った。


修斗の手は大きくて私の手では包み込めないけど、それでも少しでも私の思いが伝わるようにと、少しだけ力を込めて握る。


「私、頑張れは言わないから」


「えっ?」


修斗が少し驚いた表情をする。


つながれた手を見て、私はゆっくり話し出した。