君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「代表、来ないのか?」


「はっ?代表?」


修斗が目を真ん丸くさせた。


「修斗の実力なら、各年代の日本代表に入ってもおかしくないんじゃない?」


「俺は、まだまだだよ。ボール触れるようになったのも、つい最近だし」


「なんだよそれ」


「怪我してたんだ。半年くらい、ボール触れなかった」


「半年も・・・よく腐らなかったな」


そう言って小林君はちらっと私を見て、ああそうかって顔してニヤッと笑った。


うーなにこの人。


人の顔見て、ニヤニヤ笑って。


その視線から逃げるように、私は一歩後ろに下がり修斗の背中に隠れた。


背中同士をくっつけるようにして、話が終わるのを待つ。


「いつか、同じチームでサッカーしような」


凛とした、小林君の声。