前半7分、修斗の放ったボールはキーパーの頭を超えて、誰もいないゴールに吸い込まれた。


そこからは、怒涛の攻撃。


「行け、修斗!」


応援にも、熱がこもる。


ドキドキ、わくわくするような試合展開。


修斗が起点になって、パスがよく回る。


前半終了間際、フーリーキックのチャンスを得る。


「キャー!」


盛り上がる観客席。


修斗が放ったボールは綺麗にゴールに決まり、前半を2-0で終えることが出来た。


「修斗、すごい」


ザワザワするスタンドの中、ポツリと漏れてた言葉。


「里穂、ここに居たんんだ」


「えっ?」


名前を呼ばれて振り向くと、なぜか顔中ニヤニヤさせた綾香がいた。