君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「えっ?」


急に修斗の声がして、顔を上げた。


と同時に、冷たいものが頬に当たった。


「きゃっ!」


「これやる」


「へっ?」


目の前に差し出されたものは、パックのオレンジジュース。


あっ、冷たい感触がしたのはこれか。


「里穂ちゃんの分だってさ」


「あっありがと」


修斗からオレンジジュースを受け取る。


「礼なら、母さんに言って」


修斗は私の髪をくしゃってすると、席に戻ろうとした。


でもまたすぐに振り返って。


「里穂、試合中にボーっと突っ立ってんなよ」