君の隣~サッカーボールを追いかけて~

衣がきつね色になるまで、ゆっくり揚げる。


「ただいま」


お父さんが帰ってきた。


「おかえり」


「なんだ、ご飯まだか」


台所に入ってきた第一声がこれ。


「うっさいな。こっちだって一生懸命やってんの!」


キッとお父さんを睨んだ。


「ごめん、ごめん」


あははって笑いながら、お父さんは台所を出て行った。


「廉、お前帰って来てからずっとパソコンやってんだろ?」


「やってねぇし」


リビングからそんな声が聞こえた。


お父さん、お母さん、私、廉。


これが、私の家族。