「ありがとう、修斗」


「別に」


照れたように、そっぽを向いてしまった。


それでも差し出される、修斗の大きな手。


嬉しくて、その手をぎゅっと握る。


最近修斗は、自転車で学校に行かない。


まだ自転車はダメって言われてるのかもしれないけど、もしかしたら私に合わせて歩いてくれてるのかなとも思う。


「修斗」


「なに?」


「なんでもない」


「なんだよそれ」


修斗は私に、少し笑ってみせた。


幸せだよって、ほんとは言いたかったんだ。


でもやっぱ照れるから、はぐらかしちゃった。


私たちの恋と、修斗のリハビリ。


一歩ずつ、確実に前に進んでいた。