君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「修斗、マフラーしないの?」


ふと修斗の右手を見ると、なぜか水色のマフラーを持ったままになっていることに気づいた。


寒いんだから、すればいいのに。


「ああ。するよ」


畳んであったマフラーを広げる。


「里穂、髪上げろよ」


「えっ?うん」


言われた通り、髪を上げる。


今日は朝急いでてマフラーを家に置いてきちゃったから、こんなに寒いのにマフラーなしで学校に来た。


髪を上げると冷たい風が首元に当たって、思わず身体がブルっと震えた。


「お前バカだよな。風邪治ってないのに、マフラー忘れるなんて」


そう言って修斗が持っていたマフラーを、私の首に巻いてくれる。


「大丈夫だよ」


「いいからしとけ。また風邪ぶり返すぞ」


修斗の優しさに、ホッと心が温かくなる。