君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「あっ、吉井君」


部活が終わって着替えも済んだあと、吉井君を呼びとめた。


「なに?伊藤さん」


「えっとね、これなんだけど」


伊藤って私の名字なんだけど、普段名前で呼ばれることが多いから、なんか違和感。


「あのね、部長のこと」


私は吉井君に、1枚の紙を差し出した。


その紙に次の部長を書いて、部活を取り締まってる先生に提出しないといけない。


「あー部長か」


吉井君は、困った顔をした。


修斗が部長兼キャプテンを断ってから、まだその話に手をつけていなかった。


「修斗」


吉井君が、部室から出て来た修斗を呼びとめる。


「お前、部長やれよ」


「はっ?なんだよいきなり」