君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「んー大丈夫。休んでる間、優実ちゃん一人に頑張ってもらったから。私も頑張らないと」


「そういうのは、風邪が完璧治ってから言うもんだ」


また頭をこつんと叩かれた。


でも、全然痛くない。


痛いなんて、ほんとは嘘。


「あと1周ね」


また私の前を通り過ぎる選手に声をかける。


「俺ももう1周してくる」


「いってらっしゃい」


ひらひらと手を振る。


ふっと鼻で笑うと、修斗はまた走り出した。


「里穂先輩、水ここに置いときますね」


優実ちゃんが、大きな水筒に水を入れてきてくれた。


「ありがとう。寒かったよね?」


「そんなことないですよ」