「里穂?」


今まで聞いたことのない、修斗の弱々しい声。


どうして、そんな声出すの?


「なぁ、里穂」


どうして私を呼ぶの?


もう話さないって言ったじゃん。


なんで、ここに来たの?


「入るからな」


カチャッと音がして、ドアが開く。


私は急いでドアに背を向け、目をギュッとつぶった。


起きていることを気づかれないように、息をひそめる。


頭の上に影が落ちて、優しく髪をなでられた。


「寝てるのか」


修斗の気配が動いて、ベッドのすぐ傍に座ったのを感じた。


「なあ、里穂」