でもほんとは、一人で悩んで苦しんで。


「諦めないで、修斗」


「里穂」


「いっぱいいっぱい愚痴ってもいい。辛いなら辛いって言って。苦しいなら苦しいって言って。私が全部、聞いてあげるから」


修斗は一人じゃない。


みんな、修斗のサッカーする姿待ってる。


みんな、修斗の復帰を待ってる。


「どんなに時間かかってもいい。修斗がサッカーしてる姿、私見たいもん」


頑張るのに疲れたら、少し休めばいい。


長距離を全速力で走ったら、体力だって気力だって持たないよ。


「疲れたなら、一回休もう?元気になったら、また始めればいい」


「里穂」


修斗が私の手を、お腹からそっと外した。


私の方に向き直った修斗は、そのまま私を抱き寄せた。


「少しだけ、このままで」