「でも!」


「でも、じゃないよ。余計に悪くなったら、それこそ復帰が遅くなる」


「くそっ」


修斗は握っていたタオルを投げ捨てた。


「なんでだよ!」


「少し、休憩しよう。外で、頭冷やしてきなさい」


修斗は黙って立ち上がると、リハビリ室を出てく。


隣を通り過ぎたのに、修斗は私に気づかなかった。


急いで修斗を追いかけるも、修斗が曲がり角を曲がったところで姿を見失ってしまった。


修斗がどこに行ったか分からなくなり、病院の外に出て、ケータイを鳴らす。


電源を切ってると思ったけど、意外とすぐつながった。


『もしもし?』


「修斗、今どこにいるの?」


『どこって、病院に決まってんじゃん』


電話の向こうの修斗の声は、いつもと同じように聞こえたけど、でもなんだか無理に普通にしてるように感じた。