君の隣~サッカーボールを追いかけて~

隣では、沙穂先輩が静かに涙を流していた。


ピッチでは、倒れ込んでる選手を翼部長が一人一人起こしてる。


泣いてる選手の肩を叩いて。


翼部長は、最後の最後までピッチの上では泣かなかった。


「翼、お疲れ様」


「沙穂」


そんな翼部長が泣いたのは、帰りのバスに乗る前だった。


涙を止めた沙穂先輩が、翼部長に笑顔を向けたとき。


「ごめんな、沙穂。国立、連れていけなかった」


「うんん。かっこよかったよ、翼。3年間、お疲れ様」


そのとき、翼部長の目にはうっすら涙が浮かんでた。


「今日は二人で飲み会だ!」


沙穂先輩が明るく言う。


「ジュースでな」


翼部長の目から、静かに涙が流れた。