「うん。寒かった」


「5時間くらいしか寝てないってことじゃん」


「あーそうかもね」


「そんなんだと、ほんとに風邪引くぞ」


ピンっと、おでこを弾かれた。


「再来週、先輩たち来るって」


「そっか。俺も行くかな」


「うん。来週、先輩たちセンター試験だから」


「そっか」


11月の始め。


翼部長たちは、この選手権に出場するために県予選の準決勝に挑んだ。


結果は、1-0の負け。


みんな、泣いてた。


沙穂先輩も。


先輩たちの高校サッカーが、終わりを告げた瞬間だった。