君の隣~サッカーボールを追いかけて~

『里穂?今どこに居んの?』


「綾香。えっとね、どっかの入口」


『どっかって・・・トイレ出て、左だよ?』


「うそっ。間違えた。今から戻る」


『何してんの、もう』


ケータイの向こうから、綾香のため息が聞こえる。


「すぐ追いつくから、ゆっくり歩いてて」


『でも、また迷子になるでしょ。待ってるよ』


「大丈夫だよ。走って追いつくから」


『じゃあ、ゆっくり歩いてるよ?迷ったら電話しなよ』


「うん。わかった」


綾香との電話を終えると、私は今来た道を戻り始めた。


高2にもなって、迷子になるなんて恥ずかしいよ~


また修斗にバカにされるし。


決して早くない足を一生懸命動かして、綾香たちの後を追う。