俺たちは、常に一緒だった。


里穂が俺の隣に居ることに違和感を感じなくなったのはずっと前。


いや、最初から違和感なんて無かった。


むしろ、隣に居ない方がしっくりこない。


守ってやりたい存在だし。


守ってやらなきゃいけない存在。


飛んでくるボールはよけられないし。


よく階段から落ちそうになる。


暗闇を怖がる。


それに、よく泣く。


そんな里穂だから、守りたくなるのは当然かもしれない。


さっきの痴漢野郎だって、ほんとは殴ってやりたかった。


でもそれより、震えてる里穂を助けるのが先だった。


俺に抱きついてた里穂は気づいてないかもしれないけど、実は電車を降りるまでずっと痴漢野郎を睨んでたし。


もっと早く気づいてやれなかったことを、心の中で何回も後悔した。