君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「いいよ、別に」


「早く探したいんだろ?」


「うん」


「乗れ。その方が、家に早く着く。てか、こんなことで泣きそうになってんなよ」


「だって……」


泣きなくなるくらい一大事なんだもんって言い訳しようと思ったけど、それより早く探したい気持ちが勝った私は、思い切って自転車にまたがった。


「落ちんなよ」


「落ちないし」


「里穂は、ドンくさいからな」


「修斗~!」


なんで修斗は、人を怒らせるようなこと言うのかな。


「ちゃんとつかまってろよ」


「うん」


修斗の背中の制服を、ぎゅっと握った。


「行くぞ!」