君の隣~サッカーボールを追いかけて~

みんな、黙り込んでしまった。


初めて聞く、優実ちゃんの過去。


夢を奪われた。


どんなに辛かっただろう。


どんなに悔しかっただろう。


「生意気なこと言って、ごめんなさい。私、帰ります」


この沈黙に耐えられなくなったのか、優実ちゃんが逃げるように部屋を出て行く。


「待って!」


私は慌てて優実ちゃんを追いかけた。


「待って、優実ちゃん」


私が優実ちゃんに追いついたのは、家を出た最初の曲がり角。


「私、余計なこと言いましたよね」


ごしごしと涙を拭きながら、私に困ったような笑顔を向けた。


「そんなことないよ」


「自分が出来なかったことを、修斗先輩に押し付けちゃった」