君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「私も、修斗先輩と同じところを怪我しました」


そうだった。


優実ちゃんも、サッカーをしていて怪我をしたんだ。


「手術をすればサッカーが出来るようになるってお医者さんに言われて、私は手術を望みました。まだサッカーがしたかったから。大きな夢だけど、将来は日本代表になりたかったんです」


優実ちゃんは、修斗から目線を外さない。


「でも親は、手術を受けさせてくれませんでした」


急に優実ちゃんの目が、ウルウルし出した。


「私は兄に影響を受けてサッカーを始めました。ボールを蹴ることが楽しくてしょうがなかったです。でも親は、そんな私を認めてくれませんでした。女の子がサッカーやるなんてって思ってたみたいで」


優実ちゃんの話を聞くのは、初めてだった。


サッカーをしてて怪我をしたってのは聞いてたけど。


それが原因で、サッカーが出来なくなったってことも。


「手術をしなくても普通の生活は出来るって聞いた親は、私に言いました。もう十分でしょ?って。サッカーは諦めなさいって」


優実ちゃんの頬に、涙が伝った。


「悔しかったけど、何回も親に訴えたけど、ダメでした。だから、修斗先輩はずるいです。こんなに応援してくれる人がいるのに、どうして迷うんですか?どうして、頑張ろうって思わないんですか?」


「小嶋・・・」