君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「この前、喧嘩したっていうか。修斗を怒らせたから・・・」


背中を向けたまま、沙穂先輩に答える。


「里穂ちゃんがいてくれた方が、私たちも修斗君に会いやすいんだけど。ダメかな?」


「でも・・・」


「何があったかしらないけど、仲直りしたいなら会うべきじゃない?」


沙穂先輩の言葉に、ハッとする。


「気になってるんでしょ?修斗君のこと」


気になる。


修斗のこと。


何してるか。


またサッカーしてくれるのか。


「里穂ちゃん?」


「・・・行きます」


私はくるっと、修斗の家の方に身体を向けた。


こんなに震えてチャイムを押すのは、初めてだった。