そんな大事な時期に、俺はボールにも触れない。


手術をしないといけない。


しないと、サッカーが出来ない。


そんなこと、わかりきってる。


でも、復帰までに時間がかかること。


今まで通りのプレーは、100%望めないってこと。


この二つとあと一つが俺の頭に引っかかって、手術という決断を下せないでいた。


イライラしていた。


それを、今までここに居た里穂にぶつけた。


里穂は何も悪くないのに。


俺のことを心配してくれてただけなのに。


「悪い、里穂」


泣きそうになりながら、俺の部屋を出て行った里穂。


里穂は俺に、素直な気持ちをぶつけて来た。


それでも今の俺に、里穂の気持ちを考えてやる余裕なんてなかった。