「無理しないでね」


「わかってる」


それからテーピングが終わるまで、私たちは無言だった。


「出来たよ」


「サンキュ」


修斗は私の髪をくしゃくしゃすると、部屋に戻って行った。


「修斗・・・」


その後姿を見ると、胸がぎゅーってなった。


今すぐにでも、病院に行って欲しい。


だって、絶対どうかなってるよ。


試合が出来る状態じゃないよ。


修斗は怪我のことなんか、なんでもないって感じで話す。


ほんとに、なんでもないのかもしれない。


私の勘違いかもしれない。


でもこのとき私は、ものすごく大きな不安に襲われていた。