修斗は、少し足を気にする素振りを見せながらも、時間がたつにつれていつもプレーを取り戻していた。


きっと、修斗の怪我はそんなにひどくなかったんだ。


それまで修斗だけに向けていた視線を、試合全体に戻す。


残り3分。


相手はものすごく必死。


うちの選手のほとんどが、守ることで精一杯。


ゴール前に来たボールを、とにかく大きく前に出すしかない状態だった。


残り1分。


「ロスタイムは?」


「2分です」


隣の優実ちゃんが教えてくれた。


電光掲示板に出ている小さな時計が、35分を終了したことを知らせる。


「あと2分」


今はもう、相手にいつ点を入れられてもいいくらい攻められてる。


玉木先輩がボールとキャッチし、大きく前に蹴り出す。


それと同時に、試合終了を知らせる審判のホイッスルが聞こえた。