「桜井君頑張ったね」


汚れたソックスを見て、そう思った。


今日の試合は雨の中で、さらに相手は強敵。


芝は滑るし、相手はテクニックがあるし。


負けるかと思った。


でも翼部長のシュートが前半に決まり、なんとか逃げ切った。


私が桜井君のソックスを水洗いしてるときも、洗濯物を出し忘れたという選手がちらほら現れる。


それを優実ちゃんが笑顔で受け取ってた。


「私・・・」


「沙穂先輩?」


今まで黙って洗濯物を干していた沙穂先輩が、突然勢いよく立ち上がった。


「もー我慢できない!」


そう叫ぶと、ドスドスと洗濯機が置いてある部屋を出て行く。


「翼!」


廊下中に沙穂先輩の声が響き渡った。